アメリカ車アーカイブ

1950~1980年代のアメリカ車の歴史と魅力をアーカイブする専門ブログ

🚙 1959年型フォード・ランチ・ワゴン(Ranch Wagon)徹底ガイド|実用主義が光る“アメリカの働き

1959年型フォード・ランチ・ワゴン(Ranch Wagon)は、フォードのステーションワゴン・ラインナップの中で最もベーシックなモデルです。派手な装飾は省かれていますが、頑丈で広い室内空間と使いやすさが魅力で、農家やビジネスユース、働く家族の相棒として活躍しました。


🔷 1. モデル概要

  • 名称:Ford Ranch Wagon

  • 車種区分:フルサイズ・ステーションワゴン

  • ライン位置:シリーズ最下位(Country Sedan / Squireの下)

  • ボディ構成:2ドアまたは4ドアワゴン

    特に2ドア仕様は:

    • カスタムベースとして今も人気(レストモッド・パネルワゴン風など)

    • クーペ感覚で乗れるワゴンとして若年ユーザーにも響く

  • 搭乗人数:6人(3列シート仕様も一部存在)

 

フォード・ランチ・ワゴン1959年 2ドア サイドビュー


🚗 2. エクステリアとデザイン

  • 飾り気のないシンプルなボディライン

  • ロームモールは最小限、バンパーも実用重視

  • テールフィンは他ワゴンと共通の59年フォードスタイル

  • サイドパネルはボディ同色で統一感ある外観

カラーバリエーション:

  • 単色が基本、2トーンは限定オプション扱い


🪑 3. 内装と快適装備

  • ビニールベンチシートを標準装備

  • トリムは簡素なファブリック/ビニールコンビネーション

  • 折りたたみ式リアシートで荷室を拡大可能

主な装備・オプション:

 

折りたたみ式リアゲートと荷室構造


⚙️ 4. エンジンとメカニズム

  • 223ci 直6(3.7L)

  • 292ci V8(4.8L)

  • 332ci V8(5.4L) ※上級オプション

トランスミッション

  • 3速MT(OD付きあり)

  • Ford-O-Matic(2速AT)


💵 5. 新車価格と生産台数

  • 新車価格:約 $2,500〜2,800(仕様による)

  • 生産台数:推定45,000台前後(ワゴン全体の中核)


📈 6. 現在(2025年)の市場価値

コンディション 相場(USD)
ドライバークラス $10,000〜18,000
フルレストア車 $25,000〜35,000
オリジナル極上車 $40,000〜50,000
  • 2ドア仕様は特に希少で、カスタムベースとして人気

  • 作業車からショーカーへと生まれ変わる例も多数


🏁 まとめ:地味だが頼れる“影の主役”

✨ 派手さはないが、真の実力者。

1959年型ランチ・ワゴンは、質実剛健な設計と広い荷室、低価格を武器に多くの家庭やビジネスを支えたモデルです。今でも“ワゴンらしいワゴン”を求めるファンに愛される、クラシックワゴンの王道ともいえる1台です。

 

1959年フォード・ランチ・ワゴン 正面フロント

 


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🚙 1959年型フォード・カントリー・セダン(Country Sedan)徹底ガイド|実用性と上品さを両立した“スマートワゴン”

1959年型フォード・カントリー・セダン(Country Sedan)は、ステーションワゴンシリーズの中核モデルとして、フォードの“家族と実用”を象徴する存在でした。上級モデルのカントリー・スクワイアと比べて控えめな外観ながら、装備や快適性は十分で、日常から旅までこなす頼れるファミリーカーです。


🔷 1. モデル概要

  • 名称:Ford Country Sedan

  • ライン位置:中級ステーションワゴン(上:Country Squire/下:Ranch Wagon)

  • ボディ構成:4ドア / 2列または3列シート(6〜9人乗り)

  • ホイールベース:118インチ(共通プラットフォーム)

🚪 カントリー・セダンには2ドア仕様も存在

1959年型カントリー・セダンには、標準的な4ドアモデルに加え、希少な2ドア仕様も設定されていました。

この2ドアモデルは、よりシンプルでスポーティな外観を持ち、若年ファミリーやカスタムベースとしても人気を集めました。 装備面では4ドアモデルと同等の快適性を備えつつ、車体の軽量化やドアまわりのシンプルな造形が特徴です。

外観は同年のランチワゴン(Ranch Wagon)に似ていますが、インテリア素材やトリムがより上質な点で差別化されており、 “2ドアでありながら中級グレード”という位置づけが絶妙な1台でした。

現存数は非常に少なく、今日ではレアコレクターズモデルとして高い価値を持つ仕様でもあります。

 

希少、フォードランチワゴン 2ドア




🚗 2. エクステリアとスタイリング

  • 木目調ウッディ装飾は非装備:Squireとの差別化ポイント

  • ロームアクセントは適度で上品

  • フォード共通の“ワイド&ロー”なプロポーション

  • シンプルながら均整の取れたテールフィンとリアガーニッシュ

  • 折り畳み式リアゲートを採用し、荷室へのアクセスもスムーズ

テールビュー&リアゲート

 


🪑 3. 内装と快適装備

  • 広々としたベンチシート(前後2列または補助3列目)

  • ツートーンビニール内装や布トリムが選択可能

  • インストゥルメントパネルはFairlaneと共通

主なオプション装備:

  • パワーステアリング

  • パワーブレーキ

  • エアコンディショナー(非常に希少)

  • AMラジオ / ワンダーバーラジオ

  • 6ウェイパワーシート

  • RCA車載レコードプレーヤー

ツートーン内装・フロントベンチシート


⚙️ 4. パワートレインと足回り

  • エンジン構成:

    • 292 cu.in V8(4.8L)

    • 332 cu.in V8(5.4L)

    • 352 cu.in Thunderbird Special V8(最大300hp)

  • トランスミッション

    • 3速マニュアル(OD付き)

    • Ford-O-Matic(2速AT)

    • Cruise-O-Matic(3速AT)

  • 駆動方式:FR(後輪駆動)

  • サスペンション:前コイル/後リーフリジッド


💵 5. 新車価格と販売状況

  • 新車価格:おおよそ $2,800〜3,100(グレードと装備による)

  • 生産台数(推定):ステーションワゴン系の中で高シェア(約25〜30%)


📈 6. 現在(2025年)の市場価格

コンディション 価格帯(USD)
実用レベル(要手直し) $15,000〜22,000
良好コンディション $30,000〜45,000
フルレストア / 極上 $60,000〜75,000
  • 3列シート装備車や、ツートーン塗装+オリジナル内装はプレミア対象


🏁 まとめ:落ち着きと安心感が魅力のクラシック・ワゴン

✨ 豪華すぎず、地味すぎない。これが“ちょうどいいアメリカ車”。

1959年型カントリー・セダンは、実用性と見た目のバランスに優れたワゴンとして、今もクラシックカー愛好家からの人気が高い一台です。

家族の思い出が詰まった、昭和のアメリカン・ホームドラマに登場しそうなこの車──いま再び、その価値が見直されています。

 

カントリー・セダンのサイドビュー(1959年)


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🚙 1959年型フォード・カントリー・スクワイア(Country Squire)徹底ガイド|木目調が語る“アメリカの家族の象徴”

1959年型フォード・カントリー・スクワイア(Country Squire)は、当時のフォードのステーションワゴン・ラインの最上級モデルとして君臨しました。ウッディスタイルの装飾と、3列9人乗りの広大な室内空間を備えたこのモデルは、まさに“走るリビングルーム”として、アメリカン・ファミリーライフの象徴でした。


🔷 1. モデル概要

  • 名称:Ford Country Squire

  • 車種区分:フルサイズ・ステーションワゴン

  • ライン位置:最上級ワゴン(Country SedanやRanch Wagonの上位)

  • ボディ形式:4ドア / 3列シート / FR

  • 搭乗人数:6人(標準)〜9人(補助シート付き)


🚗 2. エクステリアとデザイン

  • 側面に施された本物風ウッディ・パネル調デコレーション(木目調ビニール)

  • 豪華なクロームモールと上品なボディライン

  • 大型ルーフキャリア装着可能

  • 専用バッジとエンブレム配置

カラーバリエーション:

  • 単色塗装に加え、ウッディ部分とのコントラストを活かしたツートーンも人気

1959年型カントリー・スクワイアの木目調サイドビュー


🪑 3. 内装と快適装備

  • ビニールまたはファブリック素材の広々としたベンチシート

  • 折り畳み式サードシートにより、最大9人乗車が可能

  • 荷室スペースはシートを倒すことで極めて広大に

  • 天井まで広がるパノラマ視界と明るい内装設計

 

3列シート仕様の広々とした車内

主なオプション:


⚙️ 4. エンジンと機構

  • エンジン:

    • 292ci V8(4.8L)

    • 332ci V8(5.4L)

    • 352ci Thunderbird Special V8(最大300hp)

  • トランスミッション

    • 3速MT(オーバードライブ付)

    • Ford-O-Matic(2速AT)

    • Cruise-O-Matic(3速AT)

  • サスペンション:コイル+リーフ式 / 後輪駆動(FR)


💵 5. 新車価格と生産台数

  • 新車価格:約 $3,000〜3,300(装備内容による)

  • 生産台数:ステーションワゴン系全体で約20万台、うちCountry Squireは約35,000台前後と推定


📈 6. 現在(2025年)の市場価値

コンディション 相場(USD)
ドライバークラス $25,000〜35,000
フルレストア車 $60,000〜80,000
オリジナル極上車 $100,000〜120,000
  • 木目パネルが綺麗に残る個体は非常に希少

  • 9人乗り仕様や珍しいカラーの2トーンはプレミア化

リアビューとホワイトサイドタイヤ


🏁 まとめ:アメリカの“家族文化”を象徴する1台

✨ Country Squireは、クルマでありながらリビングであり、冒険のはじまりでもある。

1959年型カントリー・スクワイアは、家族の週末旅行、買い出し、大陸横断の夢──そんなすべてを叶えるために生まれた、温かみあるクラシックカーです。

木目調のボディラインに憧れる人々にとって、これ以上の“原点”は存在しないでしょう。

 

当時のカタログ

 


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1959年型フォード・スカイライナー徹底ガイド|世界初の“消える屋根”を搭載した革新モデル

🔰 概要|ルーフが電動で消える衝撃

1959年型フォード・スカイライナー(Skyliner)は、当時の自動車界に衝撃を与えた世界初の電動格納式ハードトップ。 ボタンひとつで金属製ルーフ全体がトランクへと収納される大胆な構造は、技術力と未来志向の象徴だった。

1957年のデビューから3年目となるこの年、スカイライナーはフェアレーン500ガラクシーシリーズの最上級モデルとして進化を遂げていた。


📏 サイズとボディ構成

項目 数値・特徴
全長 約5,410mm
ホイールベース 118.0インチ(約2,997mm)
ボディ形式 2ドア リトラクタブルハードトップ
乗車定員 6名

通常のコンバーチブルとは異なり、金属製ルーフが電動で収納されるという独特の機構を持つ。 ボディはガラクシー/フェアレーン500系と共通。


🎨 外装とスタイルの特徴

  • ✅ ロングノーズ+長大なトランクリッド
  • ✅ “ルーフのライン”が特徴的な水平基調
  • ✅ メッキとクロームの装飾バランスが上質
  • リトラクタブル機構を収納する大型トランク
  • ✅ バックエンドは丸型テールランプ+広いリアフェンダー

スタイルはコンバーチブルとクーペの中間的存在。 “金属ルーフが畳まれる”という特異性が唯一無二のシルエットを作り出していた。

 

フォード・スカイライナー 1959年 リトラクタブル動作中


🛋 内装と装備

  • ✅ 上級グレードに相応しい2トーンビニールシート
  • ✅ フェアレーン500ガラクシーと共通の高級インテリア
  • ✅ AMラジオ/ヒーター標準装備
  • ✅ オプションでパワーウィンドウ/リアスピーカー追加可能

高級志向ユーザーに向けた設計であり、インテリアの質感はクーペ以上。 特にシートの張地とクローム処理に注目。

 

スカイライナー トランク開&内装


⚙ メカニズムと走行性能

エンジン 排気量 出力
292 V8 4.8L 200 hp
332 Interceptor V8 5.4L 225 hp
352 Thunderbird Special 5.8L 300 hp

重量があるスカイライナーには、V8エンジン+Cruise-O-Matic(自動3速AT)が主流。 リトラクタブル機構に12V電動モーターと複雑なリレー配線が使われており、今も修理や維持には技術が必要。


💰 当時の価格と生産台数

価格(USD) 生産台数
約 $3,000 12,915台(1959年モデル)

高額かつ複雑な構造のため、量産は限られた。 しかしこの機構の完成度と先進性は、今も語り草になっている。


📈 クラシック市場での評価(2025年)

状態 相場価格(USD)
実働・一部修復 $35,000〜45,000
フルレストア済 $60,000〜80,000
オリジナル・完全動作品 $100,000超

リトラクタブル機構が完全に稼働する個体は非常に希少。 今や“イベントで主役を張れる存在”として、コレクター評価は非常に高い。

 

	1959年型スカイライナー サイドビュー


🏁 まとめ|ルーフが消えるという“魔法”を持った車

スカイライナーは、“屋根が開く”のではなく、“屋根が消える”車。 この技術と挑戦は、1950年代のアメリカ車の中でも最も大胆なチャレンジの一つだった。

フォードが本気で未来を描いていた時代の証──それが1959年型スカイライナーだ。

 

 


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1959年型フォード・ガラクシー徹底ガイド|“スクエアな優雅さ”が誕生した年

 

🔰 概要|1959年「1/2年モデル」で生まれた“新しい上級路線”

フェアレーン500の上級モデルとして突如ラインナップに追加されたのが、この1959年型ガラクシー(Galaxie)。 1959年4月、いわゆる「1/2年モデル(mid-year introduction)」として登場したこのシリーズは、 ただの上位版ではなく、“サンダーバードの意匠をまとった新機軸”として注目を集めた。

クラブビクトリア/タウンビクトリア/サンライナー── ガラクシーは、1959年後半のフォードを一段引き上げる存在となった。


📏 サイズとボディ構成

項目 数値・特徴
全長 約5,410mm
ホイールベース 118.0インチ(約2,997mm)
車体形式 2ドアHT(Club Victoria)/4ドアHT(Town Victoria)/Convertible(Sunliner)

基本シャシーはフェアレーン500と共通。 しかし外装・バッジ・内装・装飾のすべてが“格上”として設計されており、 フォードのフルサイズ系の上位展開はこのモデルを起点に分岐していく。


🎨 外装デザインと特徴|“Tバードルーフ”の美学

  • ✅ ボンネット前端に「FORD」立体レタリング
  • ✅ リアフェンダーへ向かって伸びる彫刻的ライン
  • ✅ ヘッドライト&グリル周辺にメッキ装飾強化
  • ルーフラインは“サンダーバード”風の低く四角い形状(Club Victoria)
  • ✅ 専用の“Galaxie”スクリプトバッジ付き

この“スクエアバード風ルーフ”は、スポーティかつ近未来的な印象を与え、 ガラクシーの上級感と差別化を強烈に印象づけた。

1959年 フォード ガラクシ― リアショット


🛋 内装と装備

  • ✅ フェアレーンよりワンランク上の2トーンファブリック&ビニール
  • ダッシュボードは立体的でクロームリング付き
  • ✅ 標準でAMラジオ&ヒーターを装備(上位パッケージ)
  • ✅ ステアリングセンターにもGalaxieロゴ入りメダリオン

全体として“やりすぎない高級感”を実現。 快適性とモダンさの融合がこのモデルの持ち味だった。

 

1959年 フォード ガラクシ― 内装


⚙ パワートレインと走行性能

エンジン 排気量 出力
292 Y-block V8 4.8L 200 hp
332 Interceptor V8 5.4L 225 hp
352 Thunderbird Special V8 5.8L 300 hp

全モデルにV8エンジンが設定され、 上級仕様=性能も引き上げられていたのがガラクシーの特徴。 トランスミッションは3速AT(Cruise-O-Matic)や3MTの選択が可能。


💰 当時の価格と生産台数

ボディタイプ 価格(USD) 推定生産数
Club Victoria(2ドアHT) $2,550〜 約95,000台
Town Victoria(4ドアHT) $2,620〜 約72,000台
Sunliner Convertible $2,730〜 約45,000台

フェアレーン500より$100〜$150高価な設定ながら、デザイン性と新しさで多くのユーザーを獲得。 まさに“後半戦の主役”となった。

 

1959年 フォード ガラクシ― フロントショット


📈 クラシック市場での立ち位置(2025年)

状態 相場価格(USD)
標準グレード・稼働車 $20,000〜30,000
軽レストア済・HT車 $35,000〜50,000
Sunliner極上車 $60,000超

ラクシーは、スクエアバードルーフの影響もあり年々再評価されているモデル。 特にClub Victoriaのプロポーションはコレクターからの人気が高い。


🏁 まとめ|“上質”は、ある日突然登場する

1959年途中に突如現れたガラクシー。 それはフェアレーン500の上に“デザインという上質”を足した結果だった。

派手ではない。だが、スタイルで格の違いを見せた1台── それが1959年型フォード・ガラクシーだった。

 

1959年 フォード ガラクシ― サイドショット

 

1959年型フォード・フェアレーン500徹底ガイド|“メインストリームの王者”が見せた進化の美

 

 

 

🔰 概要|すべてのアメリカ人に寄り添うための1台

1959年型フェアレーン500(Fairlane 500)は、フォードの中核モデルとして最も多くの人々に選ばれた“アメリカの標準車”。 派手すぎず、地味すぎず。装備、ボディサイズ、価格帯すべてがバランスの中にある1台だった。

そしてこの年、新設された上級派生「ガラクシー(Galaxie)」へと繋がる、過渡期のフェアレーンでもあった。


📏 サイズとボディ構成

項目 数値・特徴
全長 約5,400mm
ホイールベース 118.0インチ(約2,997mm)
車体形式 2ドア/4ドアセダン、ハードトップコンバーチブル
代表的な派生 Victoria(ハードトップ)、Sunliner(コンバーチブル

フェアレーン500はラクシーと共通シャシーを持ち、実質的に“兄弟車”のような存在。 ただし装飾や内装は控えめで、コストパフォーマンス重視の中流層向けに位置づけられていた。

1959年 フォード フェアレーン 500 フロント


🎨 外装デザインと特徴

  • ✅ ボンネット先端の「FORD」ブロックレタリング
  • ✅ 水平基調のサイドラインと控えめなフィン
  • ✅ テールは丸型ランプ×長方形ハウジングの組み合わせ
  • フェンダー下に差し込まれるクロームモールがアクセント
  • Victoria系はルーフラインが緩やかに下がる“流線型”

全体の印象は“バランス型”。
派手さを抑えつつ、しっかりと高級感と近代性を備えた造形が魅力。

■ Club Victoria(クラブ・ビクトリア)

フェアレーン500の中でも最も人気が高かったハードトップクーペがこのクラブ・ビクトリア。 ピラーレス構造の2ドアハードトップで、スポーティな印象とファミリー層向けのサイズ感を両立した“黄金バランス”モデル。

  • ✅ ドアが大きく、流れるようなルーフライン
  • ✅ Bピラー無しの“フルオープン風”サイドビュー
  • ✅ オプションで2トーンカラーやサイドモール加飾が選択可

ビクトリア=「ハードトップモデルの名称」としてフォード系では伝統的に使われており、 1959年型でもその象徴性は健在。特にClub Victoriaは“買いやすく、見映えする”ということで販売実績も多い。

ビクトリアルーフライン


🛋 内装と装備

  • ✅ 2トーン or モノトーンのファブリックシート(オプションでビニール)
  • ✅ シンプルながら立体的なダッシュボードデザイン
  • ✅ AMラジオ、ヒーター、灰皿など基本装備あり
  • ✅ ステアリングは一部グレードでクロームリング付き

フェアレーン500は、“上質感”と“実用性”の絶妙な折衷。 特に4ドアハードトップ(Victoria)はファミリー層に最も人気だった。

1959年 フォード ファレーン 内装


⚙ パワートレインと走行性能

エンジン 排気量 出力
直6 Mileage Maker 223 cu.in(3.7L) 145 hp
V8 Thunderbird Special 292〜352 cu.in 200〜300 hp

搭載可能なパワートレインは多彩。 V8+Cruise-O-Matic(3速AT)を選べば、走行性能は上級モデルと同等のレベルに到達。


💰 当時の価格と生産台数

ボディタイプ 価格(USD) 生産台数(推定)
2ドアセダン $2,300〜 約130,000台
4ドアセダン $2,400〜 約160,000台
Victoria HT $2,500〜 約95,000台
Sunliner Convertible $2,600〜 約45,000台

選択肢が多い=販売台数も膨大。 ガラクシーより少しだけ下の価格設定により、「現実的な夢の1台」として広く普及。


📈 クラシック市場での立ち位置(2025年)

状態 相場価格(USD)
ノンレストア/稼働車 $18,000〜26,000
軽レストア済 $30,000〜45,000
Victoria / Sunliner 極上車 $55,000以上

セダン系は比較的手に入りやすく、SunlinerやVictoriaはデザイン面から特に評価が高い。 ガラクシーより“ちょっと控えめ”な点が逆に魅力。

 

1959年 フォード ファレーン バックスタイル


🏁 まとめ|“アメリカ人の選んだ1台”

フェアレーン500は、フォードが1959年に提示した最もバランスのとれた1台だった。 価格、装備、サイズ、スタイル──すべての要素が“ちょうどいい”。

今見れば地味な存在かもしれない。 だが、1959年のアメリカを最も正確に反映したのは、このフェアレーン500だったと言えるだろう。

1959年型フォード・カスタム300 徹底ガイド|実用セダンの“無骨な美学”

🔰 概要|“選ばなかった人のフォード”が、今は通好みに

1959年型フォード・カスタム300(Custom 300)は、当時のフォードラインナップの中で最もベーシックなモデル。 豪華さや華美な装飾とは無縁で、官公庁車両やフリート、予算重視の個人ユーザーに向けて展開された。

しかし、その無駄を削ぎ落とした外観とシンプルな構成は、現代のクラシックカー市場ではむしろ“硬派な選択肢”として再評価されつつある。


📏 サイズとボディ構成

項目 数値・特徴
全長 約5,380mm
ホイールベース 118.0インチ(約2,997mm)
ボディタイプ 2ドアセダン / 4ドアセダン
乗車定員 6名

プラットフォームは上位モデル(Fairlane 500)と共通ながら、ボディ装飾やトリムの簡略化により軽量・低価格化されている。

1959年 フォード カスタム サイド




🎨 外装と特徴的ディテール

  • ✅ 最小限のクローム装飾(フェンダーライン/グリル)
  • ✅ シンプルなスチールホイール&ハブキャップ
  • ✅ ヘッドライトはツインライト構成
  • ボンネット前端に「FORD」立体レタリング
  • ✅ テールランプは汎用丸型ユニット

派手なテールフィンやサイドモールが無いため、当時としては珍しく控えめなデザインがかえってモダンに見える。

1959年 フォード カスタム リヤから 控えめなテールフィン




🛋 内装と装備

  • ✅ ビニールまたは布張りのベンチシート(カラー選択少なめ)
  • ✅ 水平基調のシンプルなダッシュボード
  • ✅ ヒーターはオプション/AMラジオも未装備が多い
  • ✅ インストルメントパネルはベーシックな3連メーター構成

まさに“必要最低限”の内装。
しかし無駄がなく、整備性や維持のしやすさでは今でも高く評価されている。


⚙ パワートレインと走行性能

エンジン 排気量 出力
直6(Mileage Maker) 223 cu.in(3.7L) 145 hp
V8(Y-block) 292 cu.in(4.8L) 200 hp

標準仕様は直6エンジン+3速MT(カラムシフト)。 V8や自動変速機(Cruise-O-Matic)を選べば、上位モデルに引けを取らない走行性能を発揮。


💰 当時の価格と生産台数

ボディタイプ 価格(USD) 参考生産数
2ドアセダン $2,150前後 約105,000台
4ドアセダン $2,250前後 約120,000台

フルサイズで2,000ドル台前半という圧倒的なコスパが売り。 官公庁車両・タクシー・企業営業車などに幅広く導入され、今でも中古市場で見つかる機会がある。

1959年 フォード カスタム フロント




📈 クラシック市場での立ち位置(2025年)

状態 相場価格(USD)
実動・ノンレストア $12,000〜18,000
軽レストア済 $20,000〜28,000
極上・完全オリジナル $30,000前後

“飾り気のないフルサイズ”として、愛好家には根強い人気。 特にFleet仕様・純正ステアリング・FORDレタリング残存車は評価が高い。


🏁 まとめ|“地味な顔”が、逆に刺さる

1959年型フォード・カスタム300は、今でこそ目立たない存在かもしれない。 しかし、その質実剛健さ・維持のしやすさ・素朴な雰囲気は、クラシックカーとして非常に魅力的。

煌びやかなガラクシーやスカイライナーの陰で黙々と走り続けたこの車こそ、 “アメリカの道路のリアルな主役”だったのかもしれない。