1959年、アメリカ車のデザインは空へ向かっていた。
その最前線に立っていたのが、キャデラック Series 62(6200シリーズ)。
巨大なテールフィン、バレットテールランプ、そして堂々たる全長5.7m超──
このモデルは、当時もっとも“キャデラックらしい”フルサイズラグジュアリーカーとして愛され、シリーズ全体で最大の販売台数を誇った。
ここでは、1959年型Series 62の全貌を、構造・仕様・装備・市場価値まで網羅してお届けする。
🔷 1. デザイン:キャデラック・アイデンティティの中核
Series 62は、フルサイズでありながら過度に華美すぎず、キャデラックらしさをもっともバランスよく表現したモデル。
そして1959年には、シリーズ内でさらに細かいボディスタイルのバリエーションが存在していた。
🏁 2. ボディバリエーションとウインドウ構成
🚘 2ドアクーペ(Series 62 Coupe)
-
スタイリッシュなピラーレス・ハードトップクーペ
-
最も人気の高かった構成で、ルーフラインとCピラーの処理が美しい
🚘 4ドアセダン(Four-Window / Six-Window)
-
Four-Window Sedan(4ウインドウ):後席クォーターウインドウなし。クーペライクな印象
🚘 コンバーチブル(Series 62 Convertible)
-
電動ソフトトップ仕様の贅沢なオープンモデル
-
後席のトリムやアームレストに専用仕立てがあり、豪華感高め
⚙️ 3. エンジンとパフォーマンス
全モデルに共通で搭載されたのが、当時のキャデラックの主力エンジン:
-
390 cu.in V8(6.4L OHV)
-
出力:325 hp(4バレルキャブ仕様)
-
-
トランスミッション:Hydra-Matic 4速オートマチック
加速・静粛性ともに当時のトップクラス。まさに“滑るように走る”ラグジュアリーカー。
🛋️ 4. インテリアと装備内容(内装解説)
Series 62の内装は、派手すぎず、しかし誇り高い質感が特徴。
🔹 シート&トリム
-
厚手のブロードクロスやナイロン織物が標準
-
一部モデルにはビニールレザーとのコンビも存在
-
コンバーチブルでは後席に専用アームレストや追加トリムあり
🔹 インテリアカラー
-
シンプルなモノトーンに加え、ボディカラーに応じたツートーン仕様も展開
-
色数は内装だけで15通り以上ともいわれる
🔹 ダッシュボードと内装アクセント
-
メタル×クロームの美しい組み合わせ
-
見た目の華やかさだけでなく、触感の満足感にも配慮された仕立て
🧰 5. 標準装備とオプション
【標準装備】
【主なオプション】
-
4ウェイ or 6ウェイパワーシート
-
エアコン(リア吹出口あり)
-
Autronic Eye(自動ヘッドライトディマー)
-
クルーズコントロール
-
デュアルエグゾーストシステム
-
ゴールドトリム(一部装備パッケージ)
💵 6. 新車価格と生産台数(1959年当時)
ボディタイプ | 新車価格(USD) | 生産台数(シリーズ合計) |
---|---|---|
Coupe | 約 $4,600 | 約 72,000台 |
Sedan(4W/6W) | 約 $4,800 | ※詳細内訳不明 |
Convertible | 約 $5,400 | 約 11,000台前後 |
📈 7. 現在(2025年)の市場価値(米国ベース)
車種 | 良好車両 | フルレストア車 | 極上オリジナル |
---|---|---|---|
Coupe/Sedan | $35,000〜55,000 | $70,000〜 | $90,000以上 |
Convertible | $75,000〜100,000 | $120,000〜 | $150,000以上も |
※オリジナルカラーやマッチングナンバー、オプション装備の有無で大きく変動
📌 補足:Series 62のモデルコード
1959年当時、シリーズ62はGM内部ではそのまま「Series 62(Model 62)」として扱われていた。
-
ConvertibleやCoupeなどもすべてこのシリーズに含まれ、
-
Eldorado Biarritz/Sevilleはこの62シリーズをベースにした派生上級モデルという扱いだった。
🏁 まとめ:Series 62は“もっともキャデラックらしい1台”
巨大なボディに、流れるようなサイドライン。
上品な内装に、必要十分以上のパワー。
そして、De VilleやFleetwoodより手が届きやすい価格帯──
Series 62は、まさに“ラグジュアリーの入り口としてのキャデラック”だった。
✨ 初めてのビンテージ・キャデラックを選ぶなら、
✨ 1959年型 Series 62──それが賢明な選択だ。