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1959年型キャデラック・コマーシャル・シャーシ徹底ガイド|霊柩車・救急車・ゴーストバスターズの原点

🔷 1. はじめに|見えない“もうひとつの59キャデ”

1959年のキャデラックといえば、エルドラドやシリーズ62といった華やかなモデルが思い浮かびます。
しかし、その陰で社会を支えていたもう一つの存在──それがコマーシャル・シャーシ(Commercial Chassis)です。

この「見えない主役たち」は、霊柩車・救急車・特殊用途車としてアメリカ全土を走っていました。
さらに、あの映画『ゴーストバスターズ』のECTO-1も、このシャーシから生まれたのです。

📏 2. コマーシャル・シャーシとは何か?

キャデラックは1950年代から架装業者向けに専用のシャーシを提供していました。
この「コマーシャル・シャーシ」は、以下のような特徴を持っています。

  • ✔️ ホイールベース156インチ(約3,960mm)で超ロング
  • ✔️ 強化サスペンション/大型ブレーキを装備
  • ✔️ キャビン部分は架装業者が独自製作
  • ✔️ 通常のキャデラックとは異なるフレーム構造

つまり、これは「ベース車両だけを提供する」特殊な販売方式。
そのため、完成形は一台一台すべて異なるのが特徴です。

 

🛠 3. どんな車が作られたのか?

以下は、1959年型キャデラック・コマーシャル・シャーシをベースに作られた代表的な車種です。

用途 代表的な仕様/特徴
霊柩車(Hearse) エステートスタイル/観音開きリアゲート/木目内装
救急車(Ambulance) ストレッチ仕様/赤色回転灯/医療機材収納
リムジン 前席と後席の隔壁/ジャンパーシート付き
映画・特殊用途 後述の「ECTO-1」など架装ベースに利用

架装は主に以下のようなプロフェッショナルカー専門メーカーが担当:

  • ✔️ Miller-Meteor(ミラー・メテオ)
  • ✔️ Superior Coach(スーペリア)
  • ✔️ Eureka(ユーレカ)

👻 4. 映画『ゴーストバスターズ』と1959キャデ

1984年公開の映画『Ghostbusters』で登場した“ECTO-1”。
この車両のベースとなったのが、1959年型キャデラック・コマーシャル・シャーシ+Miller-Meteor製霊柩車です。

映画では白×赤のカラーリングとド派手な装備で描かれていますが、元々は非常に品のある霊柩車でした。
このインパクトあるデザインは世界中に広まり、“59キャデ=ゴーストバスターズカー”として定着しました。

📈 5. 現在の市場価値とレストア事情

  • ✅ 完全オリジナルの霊柩車・救急車は非常にレア
  • ✅ レストアベース車両でも $50,000〜$80,000
  • ✅ フルレストア品/ECTO-1仕様は $150,000超えも
  • ✅ 日本でもコアなファンが輸入・レプリカ制作中

🧭 6. キャデラック×プロフェッショナルカー文化

アメリカでは葬送・救命の分野において、キャデラックは「格式」と「信頼性」の象徴でした。
特に1950〜60年代は「霊柩車=キャデラック」が常識だったほど。

この文化的背景が、映画・ドラマでも「重要な車=キャデラックの霊柩車」という表現に繋がっています。

🏁 まとめ|“裏方”がいたからこその伝説

1959年キャデラックの名声は、ショールームに並んだエルドラドやシリーズ62だけが築いたものではありません。
その陰で社会の最前線を支えたコマーシャル・シャーシこそ、もうひとつの“アメリカの誇り”です。

「映画の中のあの車、なんだかキャデっぽい…」
そう思ったときは、ぜひこの“影の主役たち”を思い出してください。

 

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