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1959年型フォード・カスタム300 徹底ガイド|実用セダンの“無骨な美学”

🔰 概要|“選ばなかった人のフォード”が、今は通好みに

1959年型フォード・カスタム300(Custom 300)は、当時のフォードラインナップの中で最もベーシックなモデル。 豪華さや華美な装飾とは無縁で、官公庁車両やフリート、予算重視の個人ユーザーに向けて展開された。

しかし、その無駄を削ぎ落とした外観とシンプルな構成は、現代のクラシックカー市場ではむしろ“硬派な選択肢”として再評価されつつある。


📏 サイズとボディ構成

項目 数値・特徴
全長 約5,380mm
ホイールベース 118.0インチ(約2,997mm)
ボディタイプ 2ドアセダン / 4ドアセダン
乗車定員 6名

プラットフォームは上位モデル(Fairlane 500)と共通ながら、ボディ装飾やトリムの簡略化により軽量・低価格化されている。

1959年 フォード カスタム サイド




🎨 外装と特徴的ディテール

  • ✅ 最小限のクローム装飾(フェンダーライン/グリル)
  • ✅ シンプルなスチールホイール&ハブキャップ
  • ✅ ヘッドライトはツインライト構成
  • ボンネット前端に「FORD」立体レタリング
  • ✅ テールランプは汎用丸型ユニット

派手なテールフィンやサイドモールが無いため、当時としては珍しく控えめなデザインがかえってモダンに見える。

1959年 フォード カスタム リヤから 控えめなテールフィン




🛋 内装と装備

  • ✅ ビニールまたは布張りのベンチシート(カラー選択少なめ)
  • ✅ 水平基調のシンプルなダッシュボード
  • ✅ ヒーターはオプション/AMラジオも未装備が多い
  • ✅ インストルメントパネルはベーシックな3連メーター構成

まさに“必要最低限”の内装。
しかし無駄がなく、整備性や維持のしやすさでは今でも高く評価されている。


⚙ パワートレインと走行性能

エンジン 排気量 出力
直6(Mileage Maker) 223 cu.in(3.7L) 145 hp
V8(Y-block) 292 cu.in(4.8L) 200 hp

標準仕様は直6エンジン+3速MT(カラムシフト)。 V8や自動変速機(Cruise-O-Matic)を選べば、上位モデルに引けを取らない走行性能を発揮。


💰 当時の価格と生産台数

ボディタイプ 価格(USD) 参考生産数
2ドアセダン $2,150前後 約105,000台
4ドアセダン $2,250前後 約120,000台

フルサイズで2,000ドル台前半という圧倒的なコスパが売り。 官公庁車両・タクシー・企業営業車などに幅広く導入され、今でも中古市場で見つかる機会がある。

1959年 フォード カスタム フロント




📈 クラシック市場での立ち位置(2025年)

状態 相場価格(USD)
実動・ノンレストア $12,000〜18,000
軽レストア済 $20,000〜28,000
極上・完全オリジナル $30,000前後

“飾り気のないフルサイズ”として、愛好家には根強い人気。 特にFleet仕様・純正ステアリング・FORDレタリング残存車は評価が高い。


🏁 まとめ|“地味な顔”が、逆に刺さる

1959年型フォード・カスタム300は、今でこそ目立たない存在かもしれない。 しかし、その質実剛健さ・維持のしやすさ・素朴な雰囲気は、クラシックカーとして非常に魅力的。

煌びやかなガラクシーやスカイライナーの陰で黙々と走り続けたこの車こそ、 “アメリカの道路のリアルな主役”だったのかもしれない。