アメリカ車アーカイブ

1950~1980年代のアメリカ車の歴史と魅力をアーカイブする専門ブログ

アメリカのジャンクヤード|僕らの秘密基地

クラシックカーを愛する者にとって、アメリカのジャンクヤードはただの廃車置き場ではない。そこはまさに、“僕らの秘密基地”なのだ。錆びついたボディ、割れたウィンドウ、草むらに埋もれたテールフィン――それらすべてが、時代の証人であり、ロマンの結晶でもある。

ジャンクヤードは「物語」が眠る場所

アメリカの広大な土地には、古い車が何千台も並ぶジャンクヤードが数多く存在する。そこに並ぶのは、かつて街を駆け抜けたキャデラック、家族を乗せて旅したフォード・ワゴン、若者たちの夢を乗せたシボレー・インパラ……。

朽ちた鉄に覆われながらも、彼らは語りかけてくる。「俺は、あの夏を走ったんだぜ」と。誰かが乗っていた。愛した人がいた。そんな無数の物語が、草むらの奥で息をひそめている。

 

なぜアメリカのジャンクヤードは魅力的なのか?

アメリカのクラシックカージャンクヤードは、規模が違う。日本では見かけないような1950年代〜1970年代の大型車が、何百台、何千台と積まれている。加えて、乾燥した気候の州(アリゾナニューメキシコなど)では、保存状態の良い車体が多く、まるで“眠っているだけ”のように見える。

そして何より、現地のジャンクヤードでは車の部品がそのまま残っていることも珍しくない。トリム、エンブレム、グリル、メーター、ハンドル――当時モノの宝探しができる場所なのだ。

行ってみたい!アメリカの有名ジャンクヤード5選

1. Old Car City USA(ジョージア州

世界最大級のクラシックカージャンクヤード。34エーカーの敷地に4,000台以上が静かに眠る。まるで自然と一体化した“錆びた博物館”。

2. French Lake Auto Parts(ミネソタ州

きちんと並べられた数千台の旧車が壮観。整備されたジャンクヤードのモデルケース。フォードやAMC、ビュイックなど幅広いラインナップが魅力。

3. L&L Classic Auto(アイダホ州

1920〜90年代の車両を中心に部品販売も行う、レストアファンの聖地。ガチでパーツ取りしたい人におすすめ。

4. Ron’s Auto Salvage(アイオワ州

古き良きフルサイズカーの天国。フォード・ギャラクシーやマスタングも発見されている。事前予約で見学も可能。

5. Rudi Klein Collection(カリフォルニア州

欧州車メインながら、コレクション価値の高いクラシックカーが多数。アメリカ文化と海外文化の交差点。

ジャンクヤードで見つけたいもの

  • 当時モノのエンブレムやネームプレート

  • オリジナルのメーターやダッシュボード

  • ディーラーオプションのラジオやパネル

  • 手書きの整備記録やステッカーの跡

まるで“考古学者”になったような感覚。欲しかった部品が見つかる喜びはもちろん、何も買わなくても得られる「時間旅行感」こそが醍醐味かもしれない。

ジャンクヤードは、僕らの秘密基地

子どもの頃、空き地で拾ったパーツを宝物のように握りしめた日があった。今、僕たちはそれを“大人のスケール”でやっているだけなのかもしれない。ジャンクヤードは、廃れた夢の墓場ではない。もう一度、息を吹き返す可能性を秘めた、再生の場所なのだ。

そこに眠る一台のキャデラックに、誰かの青春が詰まっているかもしれない。

そしてその車は――君のガレージで、もう一度走り出すのかもしれない。

 


AmericanCarArchive.comでは、1950〜80年までのクラシックカーを「ただの古い車」ではなく、「語るべき存在」として紹介しています。次回は、1959年型キャデラック特集へ――乞うご期待